二度美味しい！奈良県の『きな粉雑煮』

2022年1月2日2023年1月4日

お正月になると毎年テレビなどで各地域の特色あるお雑煮が話題になったりしていますが、奈良県のお雑煮も例外ではありません。

なんと！
奈良県民はお雑煮のお餅にきな粉をつけて食べるのです！！

こちらの記事では『きな粉雑煮』についてはもちろんのこと、奈良県のお雑煮の特徴についてなど、もう少し掘り下げて書いてみようかと思います。

奈良県のお雑煮の特徴

きなこ雑煮のお話の前に、まずは奈良県のお雑煮にはどんな特徴があるのかをまとめておきたいと思います。
（もちろん家庭によっては例外もありますので、その点はご了承ください。）

丸餅

お雑煮といえば、まずは丸餅か切り餅（角餅）で大きく分かれると思うのですが、奈良県は関西（西）ですので、丸餅を使っている家庭が多いです。
これは、丸い形が「円満」を意味すると考えられてきたからなのだそうです。

（関東の角餅は、人口が多かった江戸の人々に対して、一度にたくさん作れる角餅を採用したのが始まりなのだということです。）

また、奈良県は関西の他府県と比べて、餅を焼いて入れる家庭が多いのも特徴なのだとか！

白みそ仕立て

味付けに関しては白みそを使用することが多いようです。
これは奈良県に限らず、関西地方の特徴とも言えるかもしれませんね。（白みその発祥地の京都から広まったことが由来といわれています。）

ちなみに、私の実家は昔からすまし仕立てです。これは、母親の実家が宇陀地方（宇陀郡曽爾村と御杖村ではすまし仕立てにする家庭が多い）にあった影響だと思われます。
奈良県内でも、地域によってはすまし仕立てのお雑煮が食べられています。

具材は白一色か紅白に！

具材には「丸餅、祝だいこん、金時人参、里芋、豆腐、きな粉」などが使われています。

大根、里芋、豆腐を入れて白一色にする家庭と、人参を加えて紅白にする家庭があります。
また、奈良県では雑煮に入れるために、直径3cm程度の細い大根が「祝だいこん」として年末に販売されます。

具材に込められた意味

豆腐 … 四角く切った豆腐は蔵が建つように。
大根 … 輪切りにする。一年が丸く円満に過ごせるように。
人参 … 輪切りにする。一年が丸く円満に過ごせるように。
里芋 … 家内円満、子孫繁栄の象徴で切らずに使う。
きな粉 … 黄色は、米の豊作を願う。

※ 奈良県の東部山間地域では、里芋の頭芋（八つ頭／サトイモの親芋の事で品種名ではない）を入れる。頭芋には、「人の上に立てるように」との思いが込められている。

きな粉雑煮

「奈良県民はお雑煮のお餅にきな粉をつけて食べる」と冒頭で書きましたが、もちろん全地域で食べられている訳ではありません。
私の実家も元々はきな粉をつける文化はありませんでしたが、叔母が嫁いだ先（大和高田市）の家庭できな粉をつける文化があり、その食べ方を真似してみたらすっかり『きな粉雑煮』の虜になって取り入れた、という経緯がありました。

マイ大阪ガスさんのWEBページによれば、“「きなこ雑煮」を食べるのは、全国でも奈良盆地一円、大和高原、宇陀地域、吉野郡東吉野村、そして京都府木津川市と三重県の伊賀地域の一部だけ。” とのことです。

同じページには “奈良時代から食べられ始めた” と書かれていましたが、真相はいかに！？

『きな粉雑煮』と初めて聞くと、雑煮の中にきな粉が入っているのかな？と思われるかもしれませんが、お雑煮に入っているお餅を取り出して、きな粉につけて食べるのが『きな粉雑煮』です！

きな粉にはお砂糖も入っているので、私は「きな粉団子」や「安倍川餅」のようにデザート感覚で食べています。（もちろん、おかず？として食べておられる方もいると思うので、個人差はあると思います。）

基本的には黄大豆のきな粉を使う場合が多いようですが、東部山間では香りのよい青大豆のきな粉を使う家庭も多いそうです。