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多くの万葉人たちも歌に詠んだ『夢のわだ』(吉野町)

『夢のわだ(ゆめのわだ/いめのわだ)』は象(きさ)の小川が吉野川に流入する辺りののことで、多くの万葉人たちがこの淵を歌に詠んでいます。

目次

「夢のわだ」ってどんなところ?

場所は宮滝遺跡近くにある柴橋(しばはし)のすぐ下流です。

近くにあった「宮滝周辺観光案内図」
地図部分だけ切り出してみました(画像が荒くて見辛いです。すみません)

近くにあった「宮滝周辺観光案内図」に「夢のわだ」の説明文がありましたので、載せておきます。

夢のわだ
柴橋のすぐ下流で象の小川が吉野川に注ぐところを「夢の和田、夢が淵、或いは観浄(かんじょう)、夢が淵。」と呼んでいます。万葉注釈には「和田は水のよ淀める淵なり」とあり、多くの万葉人がこの淵を歌に詠んでいます。

引用元:宮滝周辺観光案内図

ちなみに、象の小川」とは喜佐谷の杉木立のなかを流れる渓流のことで、やまとの水31選(現在は34選?)のひとつです。
吉野山の青根ヶ峰や水分神社の山あいに水源をもつ流れがこの川となって、吉野川に注いでいます。
万葉集の歌人、大伴旅人もその清々しさを歌に詠んでいます。

宮滝展望台

宮滝展望台から下を覗き込むと「夢のわだ」がよく見えます。

分かりやすい案内板もあります!

象の小川が流入し、川が白く泡立っている付近が「夢のわだ」です。

象の小川と吉野川が合流地点は小さな滝のようになっています

宮滝展望台からではなく、柴橋の上から撮影した写真も載せておきます。

橋の上からも「夢のわだ」が見えます

今回は撮影しませんでしたが、橋の下に降りたり、真上から見たりするとまた違った表情が見られそうですね〜。

蛇足

宮滝展望台の柱上部に不思議な植物が生えていました。

調べてみたら「アカミゴケ」という地衣類のようです!
こういう発見も散策の楽しみの一つですね♪

万葉歌

万葉人は「夢のわだ」を題材にどんな歌を詠んでいるのか?

まずは、大伴旅人大宰府で詠んだ五首の歌のうちの一首をご紹介します。
(小野老の帰還を祝う宴の席でのものだということです。)

我が行きは 久(ひさ)にはあらじ 夢(いめ)のわだ 瀬(せ)にはならずて 淵(ふち)にもありこそ
大伴旅人(万葉集 巻3-335)

現代語訳:私の(筑紫での)赴任期間もそんなに長くはあるまい。あの吉野の夢のわだよ、浅瀬なんかにならずに深い淵のままであっておくれ。
※「瀬」は川などの浅くて渡れる浅瀬。「淵」は深い場所のこと。

「自分が大宰府から帰ってくるまで、吉野の夢のわだは浅瀬になどならずに深いままであってほしい」と望郷の念を詠んだものです。


つづいて、作者不詳の歌です。

夢(いめ)のわだ 言(こと)にしありけり 現(うつつ)にも 見てけるものを 思ひし思へば
作者不詳(万葉集 巻7-1132)

現代語訳:夢のわだとは言葉だけだったのだなあ。いま現実に見ることが出来たのだから。長い間思いに思って来たことだ。

長い間憧れ続けて来た夢のわだを現実に見ることができた!と、「夢のわだ」を見ることが出来た喜びを詠んだ一首です。

万葉人にとって、「夢のわだ」は憧れの土地だったのかもしれませんね。

「夢のわだ」の情報

所在地:奈良県吉野郡吉野町喜佐谷2-1(アクセス情報

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